2016年 11月 08日
レントゲン室の怪人? |
私は基本的に提示していただいた仕事は何でもえり好みせずに訳します。
まずは経験を積まなくてはね。
ただ、訳していて面白いのは医学・薬学系ですね。
お医者さんとか医学生からしたら、べつにどうってことの無い日常的な語彙なんでしょうが、私らみたいな門外漢から見ると、まさにびっくりぽん!(ちょっと古いか?)の語彙の宝庫です。
そんな中からいくつかピックアップしてみましょう。
先日、放射線科学の論文の日本語訳を頼まれました。
どういう話かというと、X線にも可視光線同様スペクトルっつうもんがある。
そこで特殊なフィルターで、スペクトルの構成を変えてやると、照射管に与える電荷を上げなくても、高いS/N比で撮影することができる。(言い換えるとノイズの少ない画像が得られる。)
逆に言うと、S/N比が同じでいいのだったら、放射線量を下げても良いことになる。
これってつまり、患者の被ばく量を減らせますよっていう話で、非常にわかりやすく、しかも有用な研究なんですね。
で、感心しながらどんどん訳してくと、途中でphantomっていう単語が出てくる。
phantom?
私らの世代でファントムっていえば、まずは戦闘機F4ファントム。
ベトナム戦争のころから使われ続けている機体です。でも、さすがにこれはちょっと古いか?
もうひとつ、絶大な人気を誇るミュージカル、「オペラ座の怪人(Phantom of the Opera)」ですね。
正直、何がそんなにいいのか、私には理解できないストーリーですが。
とにかく、放射線科学の論文に、どうして「怪人」が出てくるの?
こういうことです。
放射線被ばくの状況を調べるのに、まさか生身の人間を使うわけにはいきません。
そこで、センサーを内蔵した人体模型を使うことになる。
それを業界ではphantomと称するらしいです。
昔、よく学校の保健室なんかにおいてあった人体模型、あれもphantomです。
何だか怖いですぅ!
by domani2015
| 2016-11-08 23:00
| 翻訳
|
Comments(2)
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hideonoshogai at 2016-11-20 06:28
お久しぶりです。ブログ再開されたのですね。
phantomは人体模型でなく簡単な球体のようなものでもそう呼ぶことがおおいです。たとえば以前に検査を受けられたPETCT。小さな病巣を正確に描出できるかどうかで装置の性能が決まります。
例えば直径が4、7、10、15ミリの球形あるいは円柱の容器にFDGを封入して撮像し、どの大きさからはっきり見えるかなど良くおこなわれますが、このような容器も球形ファントムあるいは円柱ファントムと呼ばれています。
phantomは人体模型でなく簡単な球体のようなものでもそう呼ぶことがおおいです。たとえば以前に検査を受けられたPETCT。小さな病巣を正確に描出できるかどうかで装置の性能が決まります。
例えば直径が4、7、10、15ミリの球形あるいは円柱の容器にFDGを封入して撮像し、どの大きさからはっきり見えるかなど良くおこなわれますが、このような容器も球形ファントムあるいは円柱ファントムと呼ばれています。
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domani2015 at 2016-11-20 11:33
ははあ、なるほど。
臓器や組織を模式化したものもphantomとよぶわけですね。ありがとうございます。勉強になりました!
私はすでに演奏会復帰しまして、9月末に福祉大欅ホールでの「ドイツ・レクイエム」にのりました。
そろそろ年末なので、どこからか第九のお呼びが掛からないかなーと待っているのですが、今年はどこからもお声が掛からないのでちょっと拗ねているところです。
臓器や組織を模式化したものもphantomとよぶわけですね。ありがとうございます。勉強になりました!
私はすでに演奏会復帰しまして、9月末に福祉大欅ホールでの「ドイツ・レクイエム」にのりました。
そろそろ年末なので、どこからか第九のお呼びが掛からないかなーと待っているのですが、今年はどこからもお声が掛からないのでちょっと拗ねているところです。